スマブラSPは間違いなく日本のEsportsシーンに衝撃を与える。それだけ今のスマブラ界隈は色々な条件がそろい、恵まれている。
今回はその理由について記事にしていこうと思う。
理由1.観戦者数のポテンシャル
売り上げ
スマブラSPの観戦者のポテンシャルはとてつもない。初週の売り上げは500万本で、据え置き向けで歴代最高ペースらしい。
さすがのスマブラブランド。Switchがよく売れているのもあり、とんでもない売上になっている。この数字は最近の格闘ゲーム的なEsportsタイトルの中では圧倒的である。あのストリートファイター5ですら約220万本である。それだけ観戦者数のポテンシャルがあるということだ。もちろんスマブラは観戦者の比率はかなり低いタイトルだが、それが変わろうとしていることを後に述べる。
知ってるキャラがいる
スマブラSPの参戦キャラ数は76体。世界中の誰もが1キャラは知ってるキャラがいるのではないだろうか。これはスマブラ独自の強みといってよいところで、知っているキャラがいればそのゲームを見てみようというモチベーションになり、それだけ観戦者数のポテンシャルが高くなる。
理由2.スマブラ観戦の敷居の低さ
ゲームシステム
スマブラシリーズは観戦するうえで優秀なゲーム性だと私は考える。画面外に吹っ飛ばせば勝ち、という日本人におなじみの相撲に近い、とても見ていてわかりやすく画面が映えるルールだ。吹っ飛ばす瞬間は迫力があり見ていて爽快だ。お互い撃墜%の状況のドキドキ感は、このゲームの醍醐味だ。
観戦されることを意識したゲーム調整
これは私の推論に過ぎないが、スマブラSPではEsports的な観戦を意識したゲーム調整を感じる。他の格ゲーからすると当たり前のことであろうが、これまでのスマブラからすると衝撃的なことなのである。
撃墜時のストック数の演出
スマブラにおけるストックの表示は下に小さく表示されているだけなので、このような演出があると非常に試合状況の理解がしやすい。
試合が決まった瞬間の演出
他の格闘ゲームにはよくある演出。ついにスマブラでも取り入れられ、観戦者を意識したつくりを感じる。
ゲームスピードとガードの仕様
スマブラSPになって前作から大きく変わった点として、ゲームスピードが上がったこととが挙げられる。スマブラDXを彷彿させるようなスピードとなり、見ていて楽しくなった(もちろんこれが嫌な人もいるだろう)。またガード解除フレームが増え、前作に比べて攻めているほうが有利なゲームになった。これも観戦している側としては一般的には面白くなる要素だ。
強豪プレイヤーの開発協力
本日2018年12月7日発売のNintendo Switchソフト
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にて、
一部開発の協力をさせていただきました。
それに関する質問には一切お答えできません。
プレイヤーとして本作のユーザー大会等への参加予定はございません。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。— aMSa (@aMSaRedyoshi) 2018年12月6日
これもまた一つの衝撃だった。aMSaをはじめとするスマブラ界の強豪プレイヤーたちがスマブラSPの開発に一部協力していたのだ。任天堂が競技シーンを意識して一部ゲームを作っていることはこれで確定的となった。
理由3.Youtubeとの抜群の相性
日本におけるスマブラは今までEsportsとしてどうにもぱっとしなかった。スマブラ4では1000万本の売上があったが、観戦者数はストリートファイターには全然及ばない。それだけ競技シーンを見るプレイヤー比率の低いタイトルだった。しかしスマブラSPが発売され、Youtubeが若年層において圧倒的に流行し、スマブラガチ勢がYoutubeで精力的に活動している今、それは変わる可能性が高いと私は考えている。Esportsという言葉が流行語にノミネートされるなど界隈が盛り上がっている中で発売されたスマブラSPは、間違いなくEsports界に衝撃を与えるポテンシャルを秘めている。
Youtubeの発展
Youtubeの盛況はもはや説明するまでもないだろう。王者ヒカキンをはじめとしたYoutuberの人気はすさまじい。注目すべきはYoutubeのユーザー年齢層とスマブラのユーザー年齢層がかぶっていることである。最近のスマブラガチ勢の配信はほとんどYoutubeで行われている。トッププレイヤーのあばだんごの配信はスマブラSP発売後、同接15000人に達するなどとてつもない人気となっている。スマブラ最大のオンライン大会、タミスマの配信も同接8000人を超えるなど、大会配信の人気も非常に高まっている。実はこの数字は日本のスマブラ大会でとしてはとんでもない数字で、MkLeoを招待して行われた大規模オフライン大会、ウメブラJapanMajorでの最大同接が約12,000人(配信はTwitch)で、それに迫る数字である。しかもこの12,000人の内訳は海外勢が約8300人、日本人は約3700人で、日本人だけで見たらタミスマが過去最高の可能性もある(もちろん新作ブーストの力は大きい)。
Youtubeの発展とEsportsの盛り上がりがかみ合って、スマブラSPの競技シーンはとてつもない勢いで発展している。前作に比べ、競技シーンのプレイヤーと大会の認知度は間違いなく高まっていくと考えられる。
個人配信と大会配信プラットフォームの問題
海外ではスマブラ配信といえばTwitchという土壌が出来上がっている(その他のゲームも同様)。日本のスマブラの大会配信も主にTwitchで行われているが、まだまだTwitchの知名度はYoutubeに比べると低いようだ。日本のスマブラ個人配信者はほとんどYoutubeで配信している現状がある。圧倒的に見る人の母数がYoutubeのほうが多いのだ。あばだんごはかつてTwitchで配信していたが、せいぜい同接100人程度だった過去がある。
この問題は結構深刻である。スマブラを観戦する動画勢としては、大会配信とスマブラプレイヤーの個人配信が別々のプラットフォームで行われるのは正直不便だ。海外のスマブラ配信者はTwitchで配信を行っており、スマブラ大会配信もTwitchである。将来的にどっちになるのかわからないが、統一されることを祈りたい。スマブラの競技シーンにおいてもGoogleとAmazonのIT界の巨人の戦争が行われているのだ。
理由4.上位プレイヤーの積極的な発信
スマブラ界隈は長く競技シーンのプレイヤーの発信が乏しいといわれてきた界隈だ。スマブラがEsports的に発展していくうえで、プレイヤーとファンの関係構築は必須の要素で(マネタイズのためにも)、そのためにはプレイヤーの発信は欠かせない背景がある。
しかしスマブラ4後期からその状況は一変する。日本を代表するスマブラー、あばだんごや、スマブラX初期の最強スネーク使い、サウザーが道を切り開いていった。現在は多くの上位勢が積極的に配信を行っており、着実にファンを増やし、競技シーンの認知度もますます上がっている。
スマブラ4発売当初はそもそも競技シーンのプレイヤーの発信はほとんどなく、タミスマなどの大規模なオンライントーナメントもほとんどなかった。スマブラSPはそのどちらもそろった状態で、売り上げも歴代最高ペース。Youtubeの発展にも追い風を受け、スマブラSPの競技シーンはますます発展していく可能性がある。
Smashlog
プレイヤーの発信するゲーミングメディア、Smashlog。このようなスタイルのメディアもスマブラ独自ではないだろうか。トッププレイヤーによる信頼性の高い記事が毎日更新されている、新しい形のメディアだ。初心者にも分かりやすい書き方がされており、スマブラ界隈を発展させたい強い意志を感じるサイトだ。今後Smashlogがスマブラシーンで果たす役割は重要なものとなるだろう。
理由5.コミュニティを支える最強の裏方
スマブラは裏方ユーザーの力がとてつもない。これもまたスマブラSPが世界を変えるポテンシャルのうちの大きな一つだ。
大会運営陣
スマブラ競技シーンの大会は任天堂があまり積極的でない背景もあり(最近は変わった可能性大)、ウメブラを筆頭としたユーザー主導の大会が主な大会である。そしてその大会はユーザー大会とは思えないほどのクオリティの高さを誇る。もちろん最初からクオリティの高い大会であったわけではない。熱い思いを持ったスタッフが多く、常に改善活動を行い現在のクオリティに行き着いたのがすごいところである。その努力の甲斐もあって、ウメブラのスマブラSPの初回大会の参加者は約750名という結果になる。まだスマブラの大会を見たことのない人はぜひツイッターをフォローして大会を見てほしい。大会を運営してくれているユーザーによってスマブラコミュニティは保たれているといっても過言ではない。
・以下スマブラオフ大会のツイッター
ウメブラ/関東スマブラオフ大会 (@UMBRHP) | Twitter
スマバトSP (@sumabatosp) | Twitter
カリスマ@愛知スマブラオフ大会 (@karisuma_nagoya) | Twitter
修羅ブラ@1/27修羅ブラSPⅠ (@Shulla_bra) | Twitter
ヒロスマSP Pre 12/9(日) 開催! (@HirosumaSP) | Twitter
TSC スマブラ東北大会 (@TSC_SUMA4) | Twitter
さめき神、のちょう神、Haruki神
さめきさんは、スマブラ最大のオンライントーナメントを運営している人。スマブラSP発売後は一瞬で参加枠が埋まってしまうほどの人気ぶり。ものすごい頻度で大会を開いており、WiiU時代は113回も開催された。
タミスマ スマブラ3DS・スマブラWiiU非公式オンライン大会サイト
のちょうさんは、スマブラの対戦、交流WEBサイト、スマメイトの運営者。スマメイトではレート対戦をすることができる。前作ではゲーム内にレート機能が無かったため、猛者たちはこのサイトに集まり対戦を行っていた。今作では世界戦闘力が実装されたが、スマブラSPでもスマメイトは運営を開始し依然として需要は多い。
Harukiさんは、スマブラ大会の戦績をまとめるサイト、SmashRecordの運営者。それに基づきJapanPlayerRankingの作成も行っている。私もよく参考にしているサイトだ。
上で紹介した人たちは、誰かに言われて仕事としてこのような活動をしているわけではない。自分でやりたくてやっているのである。勝手にこのようなモチベーションも能力も高い人が出てくるのがスマブラコミュニティの強いところだ。
最後に
以上、スマブラSPが世界を変える理由について書いた。
スマブラSPは、ゲームの知名度、ゲームのわかりやすさ、プレイヤーによる発信、コミュニティの強靭さを兼ね備えたとてつもないポテンシャルを秘めたゲームだと私は考えている。最近のEsportsの発展に乗っかって、スマブラ競技シーンがますます発展していくことを祈りこの記事を終わる。
コメント
大会運営陣の記載がだいぶ足りない…足りなくない?黒ブラとかHSTとか美ゅらブラとか理科ブラあたり入ってないし闘龍門スマパサイクロプスも加え入れて❤️